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入手価格での販売 [賢者達]

泥棒団がロバを盗んだ。泥棒の一人が市場へロバを売りに行くことになった。その途中、魚の入った皿を持った男と出会った。男は
「そのロバは売り物ですか?」
と尋ねた。
「ええ、そうです」
「ちょっとこの皿を持っていてください。ロバに乗ってみて力強さと早さを確認してみたいので」
泥棒が男から皿を受け取ると、男はロバに乗り、急いでロバを走らせ、町へと入るとそのまま逃げてしまった。
泥棒は詐欺師にロバをだまし取られ逃げられたことに気づき、がっかりして魚の入った皿を持って引き返した。仲間たちは顔を見るなり尋ねた。
「ロバはいくらで売れたかね?」
泥棒は答えた
「俺たちがロバを入手したのと同じ値段で。この皿分が利益さ」
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どっちが悪か [賢者達]

ある日ホスローがパレードの為に出かけたときに、片目の男に出会った。ホスローは悪い予感を覚え、パレードの終了までその男を捕らえておくようにと命じた。
夕方になりホスローは戻ってくると男を釈放してやった。牢から出された男にホスローは言った。
「悪く思うな、そちを見て悪い予感を覚えたので捕らえておくように命じたのだ」
片目の男は言った。
「ホスロー様、悪い予感については、わたしの方こそ当たっていたと申せましょう。あなた様の方がわたしより悪いのですから」
ホスローは腹を立てたが、男は言った。
「お腹立ちになりませぬよう、ホスロー様。あなた様はお城を出られわたしに出会いました。ところが、その後はパレードに出かけられ、ご無事に、よいことだけを見てお戻りになられました。
片やわたしはと言いますと、家から出てあなた様に出会いました。それから捕らえられ、ひどい目のみを見ました」
ホスローはこの後、悪い予感を数え上げるようなことをしなくなったと言う。
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何も書かれていない手紙 [賢者達]

 ある男が結婚式に行ったのだが、彼は招かれざる客で、入れなかった。彼は花婿の兄弟の一人が、外国にいてこの結婚式を欠席しているのを知っていた。そこで、折り畳んだ紙に封をして「某氏から花婿へ」と表書きをしたものを持ってきた。結婚式の行われている家に向かうと、男は門番に言った。「門を開けろ。花婿の兄弟からの手紙を預かってきたぞ」
 門番が門を開け、男は中へ入り、花婿の家族に会うとその手紙を渡した。花婿の家族が紙を開いてみたが、中には何も書かれていなかった。
 家族は男に「彼はどうしてこんな何も書いてない手紙を送ってよこしたんだ」と尋ねた。男は「急いでたのさ」と答えた。
 みんなはそれが招かれざる客の計略だと理解したが、彼を入れてやったのだった。
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取っておけ・・・持ってこい [賢者達]

 バナーンという名の男が、結婚パーティをしている家の側を通りがかり、入っていきたいと思ったのだが、彼は招かれざる客であり、そこに入っていけるものではなかった。そこで入り込むための計略を考えた。
 バナーンは近所の食料品店に行き、指輪を担保にしてカップ入りのハチミツを10個手に入れた。
 それからそのカップ入りハチミツを持ってパーティの行われている家の門のところへ行き、門番に言った。「門を開けろ」
 門番は「どちら様ですかな?」と尋ねた。
 招かれざる客は「おや、わたしを知らないのかね?花婿の親族の遣いでカップ入りハチミツを買ってきたのだよ」と答えた。
 そこで門番は門を開け、招かれざる客は家にはいると腹が一杯になるまで飲み食いをした。そして門まで戻ると門番に言った。「門を開けろ」
 門番は「おや、どちらへ?手にお持ちのカップ入りハチミツを届けにいらっしゃったんでしょう」
 招かれざる客は「これは食料品店に返すんだ。バラ水と交換してこいと言われたんでね」と答えた。
 そこで門番は門を開け、招かれざる客は外へと出た。そしてカップ入りハチミツを食料品店に返すと自分の指輪を取り戻したのだった。
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盲人を導くもの [賢者達]

 ある晩、一人の男が家から出て、川辺を歩いていた。そこで盲人が一人、肩に壺を担ぎ、手にランプを持って歩いているのを見かけた。
 盲人は歩き続け、川岸にやってくると、壺に水を汲み立ちあがると引き返していった。
 男は驚いてその盲人に近づき尋ねた。「もしもし。あなたは目が見えていないので、昼だろうが夜だろうが同じことですよね。なのに何故手にランプを持っているんです?」
 盲人は答えて言った。「おせっかい焼きさん、わたしがランプを持ってるのは、あなたみたいな心の盲人がわたしにつまずいて、わたしの上に倒れ込み、わたしの壺を割ってしまう、ということがないようになんですよ」
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舌がバラした [賢者達]

 あるユダヤ人が風呂屋に行こうと思った。そのユダヤ人はお金のたくさん入った財布を持っていた。入浴中に財布をそこいらに置きっぱなしにしておいて、誰かに盗まれるのでは、と心配になった。
 そのユダヤ人は風呂屋の更衣室に入ると、穴を掘ってそこに財布を入れ、埋めた。それから風呂に入ってお湯を使い、上がると自分の掘った穴のところへ戻ったが、そこには財布はなかった。ユダヤ人は、誰かが財布を盗んだのだと悟ったが、大声で叫んだりせず、また、だれにも何が起こったかを知らせずに自分の胸一つにしまっておいた。ある日友人の一人がやって来て言った。「機嫌はどうかね?」「見ての通りさ」とユダヤ人は答えた。その男は「君はここ数日心がふさいでるように見えるね」
 その時、ユダヤ人はその男の襟首を捕まえて言った。「では君が僕の財布を盗ったんだな。財布を返したまえ、でなければ判事に突き出すぞ」
 男は言った。「オレが盗んだなんて誰が言ったのだ?」
 ユダヤ人は答えた。「誰でもないさ。更衣室に財布を埋めて、戻って何もなくなってるのに気づいたときに、僕は黙っていて、誰にも何が起こったかを知らせなかった。妻と子ども達以外には。君がその犯罪のことを唯一知っている人間だからこそ、僕の機嫌を尋ねて、盗まれたもののことで心がふさいでいる、と知っていたって訳さ」
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犠牲の20 [賢者達]

 とある男、砂漠のある場所に財産を埋めて土で覆い、その上に20ディーナールを包んだぼろ布を乗せて、更に土をかぶせておいた。
 時が過ぎ、男は財産を取り出しに行った。すると20ディーナールを包んだぼろ布は無くなっていた。男は残りを見つけるためにその下を掘り返した。ありがたいことに財産は無事であった。
 男は言った。「盗っ人は20ディーナールを持って行ったが、その下にある2000ディーナールには気づかなかったのだな。」
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皆アダムの末裔 [賢者達]

クライシュ族の若者が三人、やり投げをしようと出かけた。
一人目が槍を投げると、的に命中した。
喜んでこう叫んだ。「オレは、二つの村の村長の末だー」
二番目が槍を投げると、的に命中した。
喜んでこう叫んだ。「オレは殉教者たるウスマーン・イブン・アッファーンの末だー」
三番目が槍を投げると、的に命中した。
喜んでこう叫んだ。「オレは天使もひれ伏す者の末だー」
連れの二人は驚いて尋ねた。
「天使もひれ伏すというお前のご先祖とは誰だい?」
彼は答えた、「人類の父たるアダムさ」

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誰のためによかった? [賢者達]

 ある男が気に留まっている雀を撃ったが、狙いがはずれ、雀は飛んでいってしまった。
 連れの男が言った。「うむ、よしよし」
 男は連れを睨んで言った。「お前はオレをバカにしてるのか?」
 連れは言った。「いやぁ、言葉通りの意味さ。雀にとってよしよしなのさ」
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屋根がひれ伏す前に [賢者達]

 男が借家に住んでいたのだが、その家が古くなり、屋根にひびが入り、崩れそうになっていた。
 大家が家賃を取りに来た。
 男は大家に言った。
 「神掛けて、屋根を直してくださいよ。ほら、ヒビがはいっています。」
 大家は答えた。
 「心配しなくても大丈夫。屋根は神を讃える言葉を唱えるために口を開いているのだから」
 男は言った。
 「わたしが心配しているのは、屋根が熱心に讃えるあまりひれ伏してしまったらどうしようってことです」

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