陸のアブドッラーと海のアプドッラー(9) [千一夜物語]
海のアブドッラーは友達のパン屋のことを忘れてはいませんでした。そこでパン屋へと行ってみましたが、店が閉まっているではありませんか。病気で家で臥せっていたのです。
そこで医者を呼び、神のおかげで病気がよくなると、王様の宮殿へとパン屋を呼びました。陸のアブドッラーは王様に、この友人がしてくれたことを語り、大臣の位を与えてやってくださいとお願いしました。王様はその願いに答えてやり、また、その誠実さ、正直さに感謝の意を述べました。
毎朝、陸のアブドッラーは海岸へ出かけ、友人たる海のアブドッラーに果物を持って行き、貴重な宝石をもらってきます。
ある日、海のアブドッラーは、海の不思議を見せようと陸のアブドッラーを呼びました。 陸のアブドッラーは着ているものを脱ぎ、水や攻撃をしてくる魚から守ってくれる特別な香油を体に塗り、頭には呼吸のできるマスクをかぶり、そうして友人と共に海の底へと潜って行きました。そこで不思議なものを見たのですが、こんな奇妙なものが見られたのも神のおかげです。
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