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陸のアブドッラーと海のアプドッラー(1) [千一夜物語]

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 千一夜のうちのある夜、シャハラザードはシャフリヤール王の前に座って語りました。「幸多く聡明な王様、このように聞き及んでおります。
 一人の漁師がおりまして、名をアブドッラーと申しました。養うべき家族が多く、貧しい暮らしをしておりました。毎日海岸に出ては網を打って、子ども達や奥さんのために日々の糧を得ておりました。
 ある日のこと、夜明けに目を覚ましたこの漁師は、お清めとお祈りを行いました。そこへ一番上の娘が来て、お母さんが赤ちゃんを産んだことを伝えました。漁師は主を讃え、網を持って海へと出かけました。この幸せの為に家族が必要とするものを夕方には持ち帰るために。
漁師は海へと網を投げながら言いました。「神の恵みにおいて、そして生まれたばかりの息子の幸運において」
 しばらく待ち、網が重くなったので・・・幸運を喜びながら・・・網を引きました。ところが、一匹の魚もかかってはおりません。そこには石や海藻がひっかかっているばかりでした。気持ちが沈み、悲しくなりましたが、こう言うのでした。「神より他に何の威も力もないのだ」
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